愛読者 ファンレター

著:折原一 画:藤田新策 文春文庫*1

本格推理覆面作家 西村香の元に届く熱狂的なファンからの手紙は、次第に《お願い》がエスカレートして――かつて覆面作家だったあの人に捧げる連作短篇集。
ミザリー』(スティーヴン・キング) *2のような偏執狂的ファンに一方的に作家が迫られるサイコサスペンスなのかな、モデルがモデルだし、と思いつつ読み始めたんですが、西村香もその周りの面々も一方的に襲われるだけのタマじゃない。人間だもの、良い人もいれば嫌な奴もいる、という、気付いてみれば当たり前の結論でした。
続篇を書いてもいいか、とモデルの作家に尋ねると「うーん」と唸ってしまった、というエピソードも頷けます。
作家に送ったファンレターや電子メールを思い出して、自分の厚かましさに恥ずかしさを覚えたり、といった経験のある方ならば、より一層のマゾヒスティックな快感を感じられそうなお薦め。

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