灼眼のシャナ XVI

マージョリーと付き合うことで『この世の本当のこと』を理解するに至った佐藤と田中からは、存在の痕跡を残さずに消えた悠二の記憶も消えず――身の丈に合わない力を持った少年と身の丈が足りない自覚を持った少年の葛藤のプレリュード・ストーリー。
今巻では、悠二が消えたことで、彼を巡るシャナと一美の鞘当てはさて置かれることになり、かわって、マージョリーを親分として慕う子分 佐藤と田中の変貌が見処になっています。優等生として生きることも、グレることもできない中途半端な二人が、『封絶』の中での戦闘を経験して、どう変わったか。
前向きに進むことを決心してすぐに行動に移すことができた佐藤に対して、恐怖にすくんで動けなかった自分に忸怩たる思いを抱く田中のコンプレックス。新しい役割を担って出発する佐藤が田中に贈る言葉を読んでいると、駄目少年もここまで成長したか、と感慨深いものがあります。
駄目貴族ギーシュが一旦腹を決めると一気に話が引き締まる『ゼロの使い魔』(ヤマグチノボル) *2同様、佐藤と田中が悠二に対峙するとか、一美に振られた池が悠二に戦いを挑むとかの《男同士の戦い》展開に期待。

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