〈本の姫〉は謳う 1

文字が魔力を持つ世界、本の修繕屋アンガスが旅の慰みに持つ本は、頁を開けば口の悪い姫が現れて、散逸した文字を探せと騒ぎ立て――本に封じられた姫の追文字録。
本作は、アンガスと姫が登場するアクションコメディ的な章と、天使の世界に生まれた悪魔の子を巡るシリアスな章が入れかわる構成で、富士見ファンタジア文庫系のコメディとシリアスの甘辛構成を思わせます。そういえば、泣き上戸のアンガスと凶暴命令口調の姫の会話は、『伝説の勇者の伝説』シリーズ(鏡貴也) *2の団子姫フェリスに呑気者ライナのやり取りを思わせるところもあったり。
架空の大陸のファンタジーで、本から飛び出る歌、天使が謳う歌は日本語なのに、魔の力を持つ文字は英単語、天使の名前は聖書と同じ、という辺りの遊びも興味深いところ。
次巻では、旅の仲間に加わった二人の活躍に期待。

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