ヒトカケラ

著:星家なこ 画:藤原々々 MF文庫J*1

占い上手の幼馴染み麗華、両親が亡くなっても元気な真央塚、ナンパだけど本命に手が出せない三島らからなるオカルト研究会部長 神崎は、人に距離を置く美少女部員蓬莢の「私のかけら」を探して欲しいとの依頼に――一つの事件の表と裏を綴る学園ファンタジー、第3回MF文庫Jライトノベル新人賞佳作受賞作。
平凡で取り柄がない男の周りに美少女3人の学園モノ、と、ぱっと見にはありがちとも言えるキャラ配置の本作ですが、真央塚から神崎への告白に始まり、神崎パートを経て真央塚パートに終わる構成と展開。神崎を囲む女子部員たちの《キャラ》を意識した喋りにも、納得の裏事情。
神崎パートが、「男の子から見た女の子のファンタジー」なだけに、その話を再構成する真央塚パートは、「『女の子から見た男の子のファンタジー』を男の子から見たファンタジー」と、複雑な話になりそうなところが、すっきり自然にまとまっています。
構成の妙というか驚きというか真相暴露というか。NHK少年ドラマシリーズ的な基調が根底にあって、そこも好み。たとえば『僕と、僕らの夏』(Light)*2みたいな話が好きな人にお薦め。

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