お狐サマの神隠し!

著:かたやま和華 画:風都ノリ B's-LOG文庫*1

九尾の狐 紗那王宛ての結び文が添えられた道場門前の捨て子を見て、憑き主 桐緒は、自分ママ役、紗那王パパ役のままごと気分で世話をすることにするが――ほのめかしメソッドに女心が揺れる江都は徳河パラレル時代劇ラブコメ
男勝りの武闘派女剣士 桐緒は、定番にしたがって料理も豪快らしく、《ソルトシェイカー》水戸泉もかくや、の大雑把な入れ方の模様で、愛情だけはこもっている料理。
男の理系の研究者や開発者に「プログラミングができる人は炊事も上手い」という仮説を提唱すると、大抵は、「その仮説は間違っている」と反論するのではなく、「自分はこんな料理をしている」と主張してきます。やっぱり料理は愛情じゃなくて技術、ということかと。
技術論や戦略論で攻めればすぐに解決したはずなのに、愛情論や根性論で攻めたが故にもつれてしまう、という展開は、『レジンキャストミルク』(藤原祐) *2のようなシリアス系だとフラストレーションがたまるんですが、『れじみる。』(藤原祐) *3のようなコメディ系なら王道そのものでイイ感じ。
自分が作った料理をおいしく食べるかどうかで自分への愛情の度合を確認したいのが桐緒だとすれば、自分と初めて出会ったときの約束を思い出せるかどうかで自分への愛情の度合を確認したいのが紗那王で、どっちもどっちのバカップルぶりが嬉しい作品です。

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