舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵

兄 理一のかわりに小学五年生の姪 ひとみの相手をする歳三を悩ませる浜倉中央署管轄の事件は、彼女のふとした一言がヒントになって――ちょっと生意気な少女がナビキャラの本格ゆるミス連作集。
題名がU15アイドルDVDのような本作、ひとみがダンスをしたり探偵をするシーンはありません。歳三が真相を解明しての各話のオチは因果応報系なんですが、ある話では被害者だった登場人物の行動の裏側が次の話で暴露されて、その人物の話の印象が一気に変わるのは見事。
34歳独身の歳三を「トシちゃん」と呼んで子供としての立場はわきまえつつも対等につきあう11歳のひとみには、付き合い方の賢さが備わっていて好感。互いが互いを愛すべき相手と思いつつも、恋愛関係には陥らない安定した距離感を保っている点は、『Papa told me』(榛野なな恵) *2の知世と似てますが、そこまで大人びていないのがひとみの魅力。気楽系に生きているあたり、成長したら『食卓にビールを』(小林めぐみ) *3のヒロインのようになるのかも、なんて思います。
くだけた言葉使いでありつつも品が悪くはない小学生女子の語り口に興味がある方にお薦め。

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