時載りリンネ! 2 時のゆりかご

活字が主食なのに読書嫌いのリンネの今回の冒険は、時を止める書棚をオークションで落札すべく画策することだが、彼女の持つ本『時の旋法』を狙う怪しい影が――リンネの幼馴染み久高が綴る、わくわくする冒険の顛末譚。
語り手久高を囲む女の子は、幼馴染リンネ、彼女の親友ルウ、無口な妹凪、年上の知的美人Gと、結構選り取り見取り。
なのに、スニーカー文庫よりも理論社フォア文庫の方が向いている感じすらする原因は、誰もが色恋に淡白なせいであることや、一貫した好奇心と真っ直な正義感が行動原理になっていることにありそう。
同じく小学生魔法少女モノの『新本格魔法少女りすか』(西尾維新) *2と比べてみると、成功している奴への嫉妬とか自分を認めない社会への恨みとか、そういう負の感情を物語の軸に立てるかどうかが、非ジュブナイルジュブナイルかの大きな差なのかな、なんて思います。
リンネが変身して悪人を懲らしめるところは、魔法少女モノの定番なんですが、最大のピンチを引っくり返すのは男の子 久高じゃない。救いの主は言霊使いでまだ力を秘めた凪で、ここが本作のポイントの一つ。いつか凪が覚醒しても、本作の匂いが理論社のままであることに期待しつつのお薦め。

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