れじみる。Junk

《虚軸》事件の終結にともない、10年来の初恋に失恋して大人になった芹菜、瞬間湯沸器型から大人しく変わった舞鶴蜜、普通の人間になった硝子、そして、消えた理緒と殊子が気にかかる相変わらずの晶――後日談の挟間学園文化祭篇を含む大量収録短篇集。
シリアス系の話の後日談って、がらりと雰囲気が変わることがあります。たとえば、『リバーズ・エンド after days』(橋本紡) *2だと、殺伐としたSF展開はすっかり抜けて、在学中に事故で体が不自由になった女の子の看病をする彼、彼らを遠くから見守るかつてのクラスメイトみたいな青春モノで、作者本人が書きたいものを書いた二次創作みたいな感じになっています。
書き下ろし長篇がシリアス、連載短篇がコメディの両輪体制で進んだ本作の場合は、後日談とはいいつつも今までの話の雰囲気はそんなに変わりません。変わったとすれば、それは登場人物たちの微妙な人間関係。
以前は芹菜と硝子の二人を手にする晶、みたいなハーレムエンド希望でしたが、こうやって後日談を読むと、晶は、小さなことに拘泥しちゃって、大切なコ皆を幸せにするんだ的な大枠での考えが苦手なタイプだと再認識。
恋人殊子を失ったひめひめと、凛々しいギャルソン姿を見せつつも心の底ではの芹菜が、心に傷を持つもの同士――とかいう超展開の匂いも楽しい一冊です。

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