インディゴの夜

自分のしっぽを咥えて眠るヨルムンガンド
著:加藤実明 画:ワカマツカオリ 創元推理文庫*1

昼は健康ハウツー本のゴーストライター、夜は渋谷のホストクラブclub indigoのオーナー、二つの顔を使い分ける三十路越えの晶に、今夜も事件が飛び込んできて――ぼ、ぼ、ぼくらはホスト探偵団サスペンス。
オーナー晶の手足となって情報を集めるclub indigoのホストたちは雰囲気盛り上げ話術が巧み系で、その風体は個性的。『神様のメモ帳』(杉井光) *2や『ヴィジュアル7』(辺見えむ) *3も個性的な男達がヒロインを囲む点では共通するんですが、本作で晶を姐御と慕うホストたちの本質は体育会系というか軍隊的というか、その上意下達のスムースなこと。「ヒロインのために○○して あ げ る」が全然ない、サッパリした味わい。
被害者はどれも女性で、最近羽振りの良い常連客の女ライター、ホストが以前に世話になった男の小学生の娘、馴染みのオカマバーの知人の高校生の娘、やはり常連客のキャバクラ嬢。どの娘も臆病な男子に対する攻撃力の高さを誇ります。
ホスト達に対して反発を感じるかも、と思って読み始めたんですが、彼らに説教したくなる晶の態度に共感してしまって、ストーリーにすっと入り込むことができました。

><