月のころはさらなり

相手の望む姿を演じてしまう 持って生まれた女の技
著:井口ひろみ 画:久村香織 新潮社*1

母 園子の行動に不審を覚えた悟は、おんば様が住む庵の「預かり子」が気になるが、園子もまたかつては《鈴鳴らし》のせいで預かり子だったと聞き――女子供しか入ることのできない庵で過ごす夏の青春ミステリ、第3回新潮エンターテインメント大賞受賞作。
現在の預かり子である美少女 茅と彼女を慕う生意気な少年 真の関係が、悟の登場で変化する三角関係展開かと思いきや、悟に真がほだされて、次第に心を開いていく男の友情展開といったが近いかも。
真と茅、悟と園子の2組は、いずれも歳の離れた男女の対ですが、どちらがどちらを《見守る》かの関係が逆転しています。女の子の方が早く大人になる、と言われているものの、小学生と高校生では、男だって大分変化するもの。もっとも、《見守る》方向が違っていても、女の子側が謎かけをする側に立つのは変わりません。
銀河鉄道999*2の鉄郎とメーテルもまた、歳の離れた男女のカップル。『銀河〜』の結末「そして少年は大人になる」が好きな方にお薦め。

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