ミステリクロノ III

ゾウの時間ネズミの時間 天使の鼓動は超ゆっくり
著:久住四季 画:甘塩コメコ 電撃文庫*1

突然冷淡になった家主 慧の態度に戸惑う三級天使 真里亜は覚悟の家出を図るが、金目当ての誘拐に巻き込まれ、神具リグレストの発動で幼児退行も始まってしまい――真里亜の消滅まであと48時間サスペンス。
いきなり消滅直前の絶対絶命シーンから始まる今巻ですが、『悪魔のミカタ』(うえお久光) *2 *3と同様、限定された状況下でのみ強力な能力を発揮する道具を、いかにうまく使って(使わずに)この危機を乗り切るのか、が見処。真里亜の上司るちあの態度は、適切な問いをすれば解答してくれるけど、こちらが欲しい情報を向こうから知らせてくれたりはしない、といった機械的な対応で、『悪魔〜』のアトリと同じ趣向。
姿形は高校生の真里亜ですが、感情的な精神年齢はまるっきりの幼児。彼女の自立を促そうと距離を置く慧のやり方は、見事なまでに説明不足。千尋の谷の絶壁直前に仔を置きつつも、自分から落とそうとはしない肚の据わっていない臆病な親獅子、といった感じ。親獅子としての態度が確立しているるちあとは対照的です。
冒頭で《犯人》がわかるわけではないのですが、犯人を引っ掛ける系なので、『古畑任三郎』シリーズ*4が好きな方にお薦め。

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