最後のプルチネッラ

♪おいらは働くのはきらいさ〜でもこいつらは仕事がしたいのさ〜何でもいいからしたいのさ〜
著:小島てるみ 写:Rolf Bruderer/CORBIS/amanaimages 富士見書房*1

演劇を禁じられた元天才子役ルカ、大道芸で日銭を稼ぐジェンナーロは、《黒い道化師》の誘いで舞台「最後のプルチネッラ」のワークショップに参加するのだが――数奇な転生を繰り返す道化の即興仮面喜劇。
二人のどちらが栄誉ある「最後のプルチネッラ」役を射止めるのか、という設定から、『ガラスの仮面』(美内すずえ) *2のマヤ/亜弓/月影先生/「紅天女」を、ジェンナーロ/ルカ/黒い道化師/「最後のプルチネッラ」に投影して読んでしまう本作。
ガラスが透明であるのに対して、プルチネッラの仮面は外界と内面を遮る壁。その壁が外界からジェンナーロやルカを遮断するからこそ、演技を通じて《自分》の中にある《影》を見つけることができるのかもしれません。
『ガラス〜』の劇中劇「二人の王女」*3 *4や、野田秀樹が演劇化した『半身』(萩尾望都) *5が好きな方にお薦め。

><