男の隠れ家を持ってみた

知人欲しさに街を歩けばストーカー呼ばわり

家庭も仕事も不満のないのに漠然とした不安を抱いているぼくは、知らない街で自分を見つめ直すため、風呂なしアパートの一室を借りるが――48歳までの自分探し。
子育てと免許取得で妻が時折実家に帰り、独り家にいて何もすることがなく孤独を覚え、家族以外は《北尾トロ》としてしか周囲と付き合っていない自分に気付く中年の図。作中で何人も知人が失踪しまうこともあって、趣味をそのまま仕事に直結させてしまうライターという職業の危うさを感じます。
女は誰だって化粧でキャラを切り替えられるのに、あんたは――という女友達の指摘に、2つの種族が戦争を繰り返す世界「優しい接触」/『心中天浦島』(栗本薫) *2隈取りを思い出しました。
複数のハンドル名を使い分けたり、名無しでいることに慣れた男なら、こういう隠れ家は不要なのかもしれません。

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