先輩と私

ゴモラが犯した罪は大阪城の破壊

部誌で官能小説『カレン姫の秘密の冒険』を連載する光枝が秘かに恋心を抱く会長 阿真理はオナニー主義者。満たされぬ思いに苦悩する光枝は、レズビアン華代の実地取材の誘いに――女だらけの官能小説。
復刊が嬉しい『お嬢様シリーズ』(森奈津子) *2 *3 *4 *5に引き続きの本作は、少女向けレーベルではなく、オヤジ向け雑誌「問題小説」での連載に書き下ろしを加えたもの。確かに官能小説系の語彙満載なんですが、エロい、とか、実用性がある、とかいう印象よりも、やっぱり笑いの方が込み上げてきてしまいます。
ジュブナイルポルノ愛好者が富士見ロマン文庫を読んでも興奮しない、という世代の問題なのか、山崎ナオコーラじゃありませんが、人のセックスは笑えちゃう、ということが本質なのか。
金持ち 華代が頭のエロティック文学研究会の伝統あるオフセット誌「月刊ゴモラ」は私小説ばかりなのに対して、貧乏な 阿真理率いる好色文学研究会の新参コピー誌「月刊アマゾネス」は挿絵つきのフィクション・キャラクター小説で攻める。このあたりに、ちょっと同時代性を感じます。
2つの会をふらふらする光枝が、自分が書きたいものを自覚するシーンは、ある意味で感動的。

><