花園のエミリー 鉄球姫エミリー第三幕

ドキッ! 重装甲だらけの政争大会 ポロリもあるよ

エミリーの騎士に降ったグレンは、命を狙うジョゼフに直談判したいとの彼女の命を受け、やむなく館への強行突入を目論むが――生まれる性別を間違えた乱世の《鉄球姫》ファンタジー
エミリーの常識外れの言動は、まさに《ラゲーネン王国の大うつけ》、若かりしころの織田信長の乱行を思い出します。エミリーの弟ガスパールが病弱でなく、彼女が男として生まれていたら、ヴェルンスト王国と敵対する状況下で、果たしてジョゼフはどちらを後見していたか。エミリーを後見しつつも、平手政秀のように自害していたかもしれません。
本作は、天下取りに関わらないことを決めたまさにそのときに、否応なく政争と戦争が降りかかる展開で、女の手管を使って天下取りに懸けた信長が突然すべてを放棄する奇想が描かれる『女信長』(佐藤賢一) *2とはイベントの順序がまるっきり逆。
次巻以降は、親子兄弟が敵同士になり、どちらか勝った方が一族を継ぐことで血を残す殺伐とした戦略が有効な戦国時代に突入するのか、それとも、親族の情を基本に『六韜三略*3的陰謀の世界になるのか、来月発売の次巻に超期待です。

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