武士道セブンティーン

技の早苗、力の香織、力と技の達人桐谷

剣の道で互いを認め合ったのもつかの間、福岡へ転校した「柔」の早苗は高校スポーツとしての剣道に違和感を覚え、一方の香織は後輩に懐かれて「剛」一辺倒ではいかず――武道とスポーツの狭間で女子剣道モノ。
国際化して精神的に堕落したと非難する人もいる柔道や相撲に対して、まだまだ国際化が十分進んだとはいえない剣道ですが、それでも、最近やっと国際連盟ができた弓道に比べれば、武道からスポーツへの流れが厳然と進んでいるのかも。剣道でオリンピック出場(!)が夢だった、というレナの言葉に、そんな流れを感じます。
ドラマ版『柳生十兵衛七番勝負*2などで柳生新陰流の「活人剣」という言葉が出てくると、「対戦相手を殺さない剣」のニュアンスで受け取ってしまっていたため、結局を相手を斬り殺す柳生家の姿に違和感を感じていたんですが、本作では、戦いにおける審判の必然性・必要性の程度の差から武道とスポーツの差を説き起こしています。
この主張からすれば、「活人剣」を解釈すれば、「安心せい、峰打ちじゃ」ということになるのかも。香織の決め台詞にも納得。
久し振りで上京した早苗に対して、彼女の姉が「臭う防具」に対して施した処置がいかにもありそう。学校の体育の時間に借りた籠手や面の臭いを思い出すリアルさでした。
香織にやたらと懐いてくる後輩 美緒の、隙間に馴々しく入り込んでくる面と素直過ぎるほどに言うことを聞く面とのギャップが絶妙に好み。前巻*3と合わせてお薦め。

><