御手洗潔対シャーロックホームズ

三つ目で腕1本足6本。異星の怪物だよ、ワトスン君。

巨石遺跡の逆さ階段の謎に挑む御手洗潔現代日本で密室殺人の謎に挑むシャーロックホームズ、霧の中に現われた巨人と失踪した少年の謎を前に、二人の名探偵が邂逅する――奇想の推理パスティーシュ連作集。
二子玉川221番地Bにて諮問探偵を営むホームズが描かれる「緋色の紛糾」では、訪問客の足音からその人となりを推理してワトスンに披露するんですが、その結末に爆笑。ホームズ推理は最尤解を求めるものであって、解の分散はまた別の問題なんてことを感じました。
御手洗の活躍を描く石岡、ホームズの活躍を描くワトスンと、二人とも物分かりが悪くて苛々しながら読むのが楽しい両シリーズ、本書の石岡・ワトスンの反応からも、想像力や応用力、寛容さのレベルが低いことがうかがえますが、このレベルを想定読者層のそれよりも少し下にするところが、実は助手役・語り部のキモなのかもしれません。
島田荘司による解説「石岡和己対ジョン・H・ワトスン」にも、そんな二人の知的レベルが、往復書簡の形式で見事に描き出されています。お薦め。

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