月の扉

国内線ではペットボトルの持ち込み検査が数秒ですんで驚いた

旅客機を空港内ハイジャックして警察に留置された石嶺を連れてくるよう要求した村上、真壁、柿崎は、機内のトイレで発生した乗客の死に――警察が踏み込めない閉鎖状態の犯人探し。
ハイジャックの真最中にトイレの中で流血して死亡した乗客、その真相を、飛行機内に軟禁されている乗客の一人 座間見くんに解かせるハイジャック犯、と、ちょっと無理矢理な印象も受ける展開ですが、座間見くんとハイジャック犯の間の極限状態での裏読みが面白い。死体の使い方になるほど感。
本書の著者による『セリヌンティウスの舟』*2や『扉は閉ざされたまま』*3では、《友情》や《親友》や《信頼》のキモチワルサが動機につながっていたんですが、本作のハイジャック犯三人の犯行の動機や皮肉な結末は、《自然》に《幸福》、さらには疑似科学系の「信じないから実現しない」居心地の悪さ。
本作の事件発生の7月16日は、西暦2000年の皆既月食の日*4。2007年8月28日にも沖縄で皆既月食がありましたし*5、2011年12月21日には全国で食の全経過が見られる*6とのことですが、本作の場合、その時間長が重要なようです。

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