予告探偵 木塚家の謎

趙飛竜の謎を謎と思わない安積家

謎を解く時刻だけを書いた予告状を送り付けては謎がまだ生じていない現場に押し掛ける摩神尊の傲岸不遜な態度に、木塚はいつも振り回され――資産家の猫マニアの墓で起きた謎を解く「カタコンベの謎」を含む4篇とおまけ1篇の短篇集。
事件が発生・発覚する前に謎を解決することだけを宣言する予告探偵。これだけ探偵が賢いなら事件を未然に防げないのか、事件が発生してから解決するなんて、というミステリーのマッチポンプ的な特性に対する批判を、剛腕で捻じ伏せる設定です。
そういう事件防止ができない探偵の古典的な苦悩とは本質的には無縁の摩神ですが、その彼が無念さを噛み締める「夏至祭2008」は、摩神が解く謎と読者が驚くべき謎が、微妙にずれているところが好み。
ラストエピソード「木塚家の謎」を見て、前巻*2の描写がどうだったか、もう一度確認したくなりました。

><