ばけらの!

役満の百万石よりも満貫の一筒模月の方が風情がある
著:杉井光 画:赤人 GA文庫*1

物書きを業とする僕 杉井ヒカルが住む池袋のアパートは、大家も店子もみな同業者で、狼の精だったり座敷童だったりグールだったり――みんないい人、下宿ラブコメ
自身をモデルとした作家モノ『少女小説家は死なない!』(氷室冴子) *2では、作家ではない一般人の視点から、少女小説家の貧乏な性格破綻ぶりを描いていますが、本作では、(妖怪ではないものの)小説家自身が語る形式。
そのせいもあってか、おかれた時代の違いなのか、『少女~』は、「他の作家を蹴落としたい」という欲望があからさまに描かれているのに対して、本作では、「他の作家と仲が良い」ことが主眼になっています。ある意味で、ヒカル以外は別に小説家じゃなくても、同じアパートの変な同居人というだけでいいんじゃない?っていう感じ。
麻雀ラブコメの第三話は、『トリツキくん』(高田裕三) *3と同じ趣向。この役をこう使うとは見事。ヒカルが小説家であることが如何なく発揮される最終話は、『ピーターパン』(J.M.バリ) *4や『ウルチモ・トルッコ』(深水黎一郎) *5が好きな方にお薦め。

><