ハーフボイルド・ワンダーガール

halfよりharfの方が昭和的
著:早狩武志 画:バーニア600 一迅社文庫*1

ずっと好きだった幼馴染 美佳から衝撃的な告白をされた俊紀は、彼女の真意を探るため、ミステリ研会長 佐倉井綾に相談を持ち掛けるが――兄と弟、姉と妹の縺れをほどいてくれるのは彼女ストーリー。
『ぼくと、ぼくらの夏』(樋口有介) *2へのオマージュ作でもある『僕と、僕らの夏*3シナリオライターが綴る本作。台詞回しは今風ですが、新感覚ミステリーというよりは、昭和の少女小説の香り。ハーフボイルドなだけに、『半熟せりかの探偵ごっこシリーズ』(久美沙織) *4とかをちょっと思い出したり。
病院の跡継ぎと目されていた大学生の兄が亡くなり、医学部に行くか否かの窮地に立たされる俊紀。親の言いなりで進路を決めた兄に対する反発、兄が跡継ぎになるから好き勝手にできた忸怩たる思い、と、悩みもどこか懐しくて嬉しい。
今巻は『プラトニックラブチャイルド』(久美沙織) *5収録の「水曜日の夢はとても綺麗な悪夢だった」*6のような、ひどく苦い話だったので、次巻では、『プラトニック~』のような明るい展開を希望。

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