ぼくは落ち着きがない

ぼくたちには落ち着きが足りない
著:長嶋有 画:衿沢世衣子 光文社*1

サボリばかりの図書委員にかわって業務を手伝う図書部の部員達は、図書室からベニヤ1枚隔てた部室に集い――ちょっと本好き、ちょっと浮きがちな不可思議学園小説。
感情表現が特異な頼子、顧問の先生とつき合っていると噂の部長、BL好きの綾、「活字倶楽部」にイラストを投稿する登美子といった女子のほか、ちょっと《少年》っぽいナス(先輩)、コミュニケーション不全オタクの尾ノ上といった男子もいる図書部を、ヒロイン部員の望美がじっと見つめて語る構成です。
舞台設定は、今どきの本好きが集う『ラノベ部』(平坂読) *2と似ていて、各人の読書に対する距離が保たれているところも同様ですが、ちょっと小難しい本を紹介したりして背伸びをしてみたりするところがリアル。コピー機に用紙を補充するときに「たんと食べろ」と思う、機械を生き物に見立てた心の呟きにも共感。
メインの題材は、携帯電話や腕時計へのこだわり、部内の男女のちょっとした軋轢、文芸部との競争意識、クラスに馴染めず登校拒否、先生への反発など、ごく普通の高校生の話題。『ラノベ部』の「コイバナ」をより一層日常寄りにした感じかも。お薦め。

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