駅神

駅で易する粋な神
著:図子慧 画:こさささこ ハヤカワ文庫JA*1

高砂駅四番線ホームに現れて易を立てる老人ヨンバンセンが出した卦は、素人には読み解けず――易学人情ファンタジー
陰陽師式神を使わない』(藤原京) *2陰陽道のハウツー小説であるなら、本作は易学のレクチャー小説で、『孔子暗黒伝』(諸星大二郎) *3にも見られる二進法と決定木の考え方を下敷きに、人が死なない日常サスペンスが展開されます。
卦の解釈の過程で相談者に新たな視点を与えることで、問題が解決に導かれ、そこにはコールドリーディングっぽい世界が展開されているのですが、霊能者が人を騙す様子というよりは、ネタにつまった作家が辞書をランダムに開いて言葉を三つ選んで三題噺を考える状況に似ていて、話が良い方向に進むのがいいです。
第三話「八卦仙」は、『超時空要塞マクロス*4の第17話「ファンタズム」のように突然話の雰囲気が変わって、ミステリーからファンタジーへ。擬人化・萌えキャラ化もここまできた、という感慨が味わえました。

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