激辛! 夏風高校カレー部! (いもうと付)

一度食べたらやみつき、鼻田香作のブラックカレー

全国高校カレー選手権の決勝戦を、事故で料理ができなくなったカレー部の先輩達にかわって戦うことになった幽霊部員の魁は――熱きカレー馬鹿をクールに語るスパイシーコメディ。
カレーを作らずに食べるだけの部員を「幽霊部員」と呼び、学校食堂の運営を部活動で賄い、高校対抗のカレー選手権で各校カレー部が戦う――本作の、何とも馬鹿で大胆な設定は、食に関する一般人の常識がはるかに進んでいる今だからこそ。デパート屋上の食堂カレー対決『包丁人味平』(牛次郎ビッグ錠) *2の時代からすると、隔世の感あり。
大食いの幼馴染み 紅、カレーにはだぶだぶソース派 コジマ君、食堂への仕入れを支配する商人 持国院、激辛派の姐御部長 李里と、設定にマッチした激辛キャラクターを、魁の妹の雫の甘さが引き立てていて、ちょうど福神漬やチャツネのようなの役割。
淡々とした地の文で描写される各種のカレーの味が想像できるのも楽しい。音楽をテーマにした小説で題名が出てきたときにその音楽のマニアの人が受ける印象、というのは、こういう感じなのかも。
あとがきがわりの参考文献が驚きの大活字の本作、カレー好きなら是非。

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