迷宮街クロニクル(1) 生還まで何マイル?

忍者は脱げば脱ぐほど強くなる
著:林亮介 画:津雪 GA文庫*1

京都の地下の大迷宮で出会った怪物を狩って換金する探索事業の第2期志望者に応募した啓一の動機は、いかにも《2003年の今》な自分探しで――死亡率14パーセントの迷宮群像劇。
ダンジョン系ゲームの世界観を忠実にノベライズ化したかのような本作で目を引くのは、簡単に人が死ぬこと、そして、金銭感覚が非日常的なこと。
同じくダンジョン系の『ひと夏の経験値』(火浦功) *2 *3ではモブが死ぬだけだし、展開の暗さが似ている『ディバイデッド・フロント』(高瀬彼方) *4でも、ここまで主要登場人物が減ったりはしない気が。
命を懸けている割に安い報酬、それなのに、元大学生 啓一の述懐では「ボロ儲けできて金銭感覚が狂った」と、非日常感満載。
こんな命の安さこそ、確かに《ゲーム感覚》。
まだテキストサイトが元気だった頃の2003年が舞台で、読んでいて懐しいのも嬉しい。次巻が楽しみのお薦め。

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