本格ミステリ・ベスト10 vs このミステリーがすごい! 2009年版

おまんまの如き食べるもの
原書房*1 宝島社*2

今年も昨年に引き続き、『本ベス2009』(原書房)と『このミス2009』(宝島社)を対比してみたいと思います。前者は本格寄り、後者は一般人寄り、と性格が違うだけに、2つのランキングの結果には大きな違いがあります。
以前は、ランキングのポイントを割り算したり、独立成分分析を使ったりして、分析を進めたのですが、今回はもっと単純に、散布図を使ってクラスタ化してみることにしました。結果は以下の通り。
横軸は『このミス』の得点、縦軸は『本ベス』の得点で、両方のランキングに登場した作品のみ、プロットしています。このため、『このミス』1位の『ゴールデンスランバー』(伊坂幸太郎)は、この図には登場していません。

これをざっと見ると、4つのグループに別れる感じ。

  1. 中央上部分の震えるぞ本格魂地帯。『本ベス』支持が圧倒的に高い作品は、
  2. 右下部分のミステリーカジュアル地帯。本格分は確かにあるものの、一般人により近い層の支持も集めた作品は、
  3. 我が道を一人の中道地帯。本格魂地帯とカジュアル地帯の境界に位置するのは、アニメ脚本で鍛えられた実力か、納得の
    • 完全恋愛(牧薩次)
  4. 左下原点付近の密集あすなろ地帯。一般向けなら本格派にはが、一歩抜けている感じ。

同じ道尾秀介でも、2つの作品で支持傾向がかけ離れているのは興味深いところです。積んである『告白』と『黒百合』を早く読んでみよう。

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