七つの海を照らす星

児童養護施設児童相談所の微妙な緊張関係
著:七河伽南 画:ヨシツギ 東京創元社*1

今年から勤め始めた児童養護施設で起きたちょっとした謎を解き明かす児童相談所職員 海王のことを、求職を助けてくれた友人 佳音ちゃんに話してみたら――七海学園で起きる七つの謎、第18回鮎川哲也賞受賞作。
本作の構成は、1話から6話では小さな日常の謎を解き明かし、最終話では、全体を裏で貫いている真相を提示するようになっていて、たとえば『ななつのこ』(加納朋子) *2に見られるような創元推理文庫連作パターン。でも本作のように、各話で謎を謎のまま残し、いかにも最終話で解くぞ(!)と明示するところはちょっと珍しいかも。
法律や条例の隙間をうまく生かした謎解きや登場人物の行動に、『白昼の死角』(高木彬光) *3っぽさを感じたり。
養護施設の間で男女交際を禁じられた子供がどう行動するのかを描く「裏庭」が一番好み。児童虐待がメインテーマではあるのですが、登場する子供が、海王の口ぐせの通り《いい子》ばかりなためか、重い気分にはならずに読み終えることができました。

><