リインカーネイション 恋愛輪廻

実はどれも「な、なんだってー!」なネタ
著:樹林伸 光文社*1

役者になる夢を諦めかけた明良の元に、三年前に出て行った妙子が戻ってきた。漫画家になるのが夢だった彼女の口癖は、今も変わらず「怒ったら負けだよ」で――「愛し合ったのは、過ちじゃなかった」を含む再会譚四篇、『MMRマガジンミステリー調査班』(石垣ゆうき) *2キバヤシ隊長による短篇集。
雑誌「小説宝石」に掲載された「愛し〜」以外の3篇は、雑誌「女性自身」に掲載されたものなんですが、各篇に仕込まれたネタに、読者層の差がはっきり出ているところが面白い。
「女性自身」掲載作では、エルメスバーキンパテック・フィリップの腕時計といったブランド商品群に、退行催眠・過去世回帰でちょっとスピリチュアル。一方、「小説宝石」掲載作は、売れない役者に井の頭公園、閉店する焼き鳥屋。何ともわかりやすい書き分け。
そして最大の違いは、《都合の良い男》が出てくるかどうか、なんですが、「愛し〜」は、そこに一捻りあるところが好み。
普通に流通している固有名詞を具体的に出す度合に、何となく漫画原作者らしさを感じました。

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