蒼月のイリス

♪なくした夢は蒼い月の色
著:星家なこ 画:平つくね MF文庫J*1

万能の力「一色」を巡って戦う慎太郎の元に押し掛け、式神としての契約を迫る女神イリスだが、彼女が美少女の姿を保てるのは――時間よ止まれ、獣神変化ストーリー。
慎太郎の式神とならんとするイリスの、世を忍ぶ仮の姿は猫。自ら望んでその姿になった訳ではない、というところは、『君の瞳に三日月』(桑田乃梨子) *2と同じです。
『君の〜』の主人公は、怪しい薬のせいで猫に変身してしまい、猫姿のときに体を撫でられると、どんなに嫌な相手でも可愛い猫の鳴き声を出してしまうんですが、本作では、愛撫に反応して出てしまうのが人の声。
エロさが増しても良さそうなものですが、結局は笑いをとるシーンになってしまうところが面白い。
そんな本作、異常なまでに慎太郎に尽くす姉 静華に、異様な迫力があります。『輪環の魔導師』(渡瀬草一郎) *3のフィノや『銃姫』(高殿円) *4のエルはいかにも発散系の《狂気》ですが、静華は、いつも静かにじっとこちらを見つめている内向系。彼女がどこまで自分を抑えることができるのか、興味津々です。

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