一角獣幻想

馬は父親の転移、角は男根の象徴
著:中島望 写:Sebastian Mayer 講談社ノベルス*1

一糸纏わぬ十五歳の姿で卵から生まれた小夜子は、麻の服を着た村人達に、巫女として迎えられることになり――「卵生少女」を含む全7篇、美少女恐怖エンタテインメント。
前作の『クラムボン殺し』(中島望) *2も本作の「卵生少女」も超好みの題名で、何だかいつも引き寄せられてしまいます。「卵生少女」は、『観用少女』(川原由美子) *3 *4っぽい語感もあり、『暗黒神話』(諸星大二郎) *5のオトタチバナ姫のようでもあり。
表題作の題名「一角獣幻想」には、少女と一角獣『喰人鬼の噴水』(立原えりか) *6 *7を期待したのですが、ぴったりなのは『凄ノ王』(永井豪) *8 *9のヒロイン 雪代と馬の組み合わせの方でした。
サイコミステリーとサイコホラーでは、怖さの質が違います。本作は、恐怖エンタと銘打たれていますが、ミステリで、自縄自縛・因果応報の状況に陥ってしまった犯人が感じるような、ある種定型化された「怖さ」でしょうか。

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