耳をふさいで夜を走る

マンドラゴラとアルラウネの微妙な差
著:石持浅海 画:池田正輝 徳間書店*1

かつて共に活動した三人の女 仁美、麻里絵、幸を殺さなければならない。殺人計画を練る直俊だが、いつもと違う曜日に来訪した あかねの振舞いに――殺さなければならない理由は何、連続殺人ストーリー。
友情の気持ち悪さを極立てたのが『セリヌンティウスの舟』(石持浅海) *2なら、本作では、間違って人を導いてしまったときの責任の取り方の極端さが極立っています。
本作にせよ『セリ〜』にせよ、登場人物の考え方は、極端から極端、オールオアナッシングで、中庸とか妥協とかが一切ありません。そういう発想だからこそ、ああいう動機で人を殺すことになるのですが。
彼女たちの《覚醒》をおそれる直俊には、『スターウォーズ*3でケノービやヨーダがアナキンに対してとる態度に似た身勝手さを感じます。ジェダイの騎士が暗黒面の影響を受けないのはちょっと納得がいかない、と感じる方にお薦め。

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