神様のメモ帳 4

蕎麦汁に天麩羅だけなら天ヌキ、アリスが好きな胡瓜ヌキ

平坂組の四代目が手掛ける音楽イベントの手伝いをすることになった僕は、偶然の出会いから義兄弟の契を結ぶことになった平坂錬次と四代目の因縁に巻き込まれ――16歳、高校生の草食系兄貴ストーリー。
四代目と錬次の仲をとりもつことになったナルミを描く本作の基本は、「本当のことを伝えないなら徹底的にやれ」ということ。『偽物語』(西尾維新) *2にいうような《仲間を裏切る勇気》は、単なる自己陶酔に終わってしまう危険性があることが良くわかります。
さよならピアノソナタ』(杉井光) *3のナオ、『ばけらの』(杉井光) *4のヒカルと同じく、本作の主人公ナルミも、自分で解決できない問題を気に病んで現実逃避し、かえって事態を悪化させるタイプなんですが、最後の最後で、おいしいところを持って行くために、すべてが許される、なんともニクい立場の男の子。ナルミを背後から見守る立場で読んでいると、何とも歯痒くてしっかりしろ!と叱りつけたくなります。ナルミのつもりで読めればいいのだけど。
突然湧き出す言葉の力で事態を納める能力は、ヒカルにもあるんですが、小説家であるヒカルには、事態をネタとして「面白い」と思ってしまう冷たさ・酷薄さがあるのに対して、ナルミはまだ成長過程で、情けなさが先に立つ状況。彼が今後どう成長していくのか、続刊を見守りたいと思います。

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