太陽の坐る場所

♪高校出てから十余年
著:辻村深月 画:水口理恵子 文藝春秋*1

東京に程近い田舎の共学校の同窓会、話題になるのは、女優「キョウコ」となったクラスメイトのこと。友をリンちゃんと呼んでいた響子の声は、転校した倫子の元に届くのか――十年ぶりの同窓会は東京で、教室の悪意ミステリ。
五人の同窓生のそれぞれの視点から描かれる五章立ての本作、ある章では善人に見えた人の裏側の悪意が別の章で曝されるところは『プリズム』(貫井徳郎) *2と同趣向ですが、本作は、ラスト直前で「そこが《謎》だったのか」と唸らされました。
章の語り手は地元に残らず都会に出た側が中心で、地元派に対する見栄だけじゃなくて、都会派内での見栄の張り合いが、高校生の悪意の延長みたいに見えちゃいます。
デビュー作『冷たい校舎の時は止まる』(辻村深月) *3 *4は高校生の時に執筆を始め、本作は本作で登場人物と作者が殆ど年齢なところに何か符合するものを感じる一冊でした。

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