偽りのドラグーン

もとはみこなり! 兄の左手! わたしの右手!

双子の兄をレガリオン帝国に殺され、亡国の王子となって孤児院に隠れ住むジャンは、竜帝の娘ティアナの誘いに乗り、兄になりすまして竜騎士養成学院に入学するが――空回りする復讐の念ストーリー。
神童と呼ばれる兄にコンプレックスを抱くこともなくおっとりゆったりと育った姿と、兄を殺され、復讐のために孤児院から抜け出そうとするジャンの後先を考えない短気な姿とで、ギャップが余りにも大きい。別人のような性格の差に、ジャンの受けた衝撃の強さを感じます。
亡き兄ヴィクトル、学院長ガートルード、寄宿の同室者クリスと、ジャンの周りの優れた才能の持ち主は、小者が抱く劣等感と逆恨みに思いが至らないせいもあって、権謀術数渦巻く世界で生き残るための《悪さ》に欠ける模様。
今のところ、『銀河英雄伝説』(田中芳樹) *2のオーベルシュタインのような、憎まれ役に徹することのできる参謀は登場していないようで、ジャンが直情径行型のまま復讐を遂げるか、それとも新キャラが登場するのか。ラストでのティアナの衝撃の告白を含め、今後の展開が楽しみです。

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