鷲見ヶ原うぐいすの論証

クスコ・アルは死に、薬歌玲は生きている
著:久住四季 画:カツキ 電撃文庫*1

天才数学者霧生が魔術師か探る命を受け、彼の住む麒麟館に向かったうぐいすと僕 麻生丹譲は、パーティに招待された天才達とともに、霧生の首なし死体を発見し――天才であった自分を脱脚できるかサスペンス。
冒頭の設定だけ見ると、玖渚とともに孤島に向かったいーちゃんがあつめられた天才とともに首なし死体を発見する『クビキリサイクル』(西尾維新) *2の相似形のように見える本作。『クビキリ〜』との最大の差は、玖渚が「今も天才」であるのに対して、うぐいすは「以前は天才」に過ぎないこと。
語り部である譲もいーちゃんも冴えない凡才であることに差はないのですが、ヒロインの立ち位置の差が、最終的な卓袱台返しにおける役回りの差となって出てきているような気がします。
トリックスターズ』 (久住四季) *3では引込み思案のヒロイン、『ミステリクロノ』(久住四季) *4ではちょっと足りないヒロインを登場させた作者ですが、本作では、頭の良さでは譲を上回るうぐいすが、小賢しい譲に積極的に迫ります。
理屈と屁理屈の境界ぎりぎりを進む謎解きは、本作でも健在なまま。新たなヒロイン像で果たしてLOVE寄せ/ラノベ魔改造がなされるのか、次巻に期待。

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