そして花嫁は恋を知る 黄土の大地を潤す姫

白い結婚の欺瞞
著:小田菜摘 画:椎名咲月 集英社コバルト文庫*1

結婚で妹に先を越された皇女アンナマリアは、急拠カストラバに輿入れすることになるが、国王フェランは異母兄を処刑した冷酷な男との話に――政略結婚から始まる恋、シリーズ第6弾。
才走る可愛げのなさ性格と真っ赤な髪の毛にそばかすのせいで、妹エリスセレナが姉アンナマリアにコンプレックスを抱く様子が描かれる前巻*2 *3とは逆に、本作では、アンナがエリスに抱く劣等感がテーマ。隣の芝は青い、自分自信に対する不満を見つけさせたら女の子にかなうものはない、という感じです。
両作とも、劣等感故の鬱憤を溜め込むだけ溜め込んでから、自分の力を思わず発揮してしまう展開なんですが。劣等感を抱きつつも、嫉み妬みや嘆きといった暗い感情に向かうことがないところは、皇女ならではの育ちの良さか、政略結婚させられる運命に対するある種の諦めのせいなのか。
一機に事件が解決し、しかも彼女達が自信を獲得するクライマックスは、実に爽快です。お薦め。

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