午前零時のサンドリヨン

デジタル時計なら「12:00am」
著:相沢沙呼 画:加藤木麻莉 東京創元社*1

人付き合いをしないクラスメイト酉乃初に一目惚れした僕は、彼女が披露するマジックと推理、そして太ももが気になって――彼女が忘れたのはガラスの靴じゃなくて青春ミステリ、第19回鮎川哲也賞受賞作。
一芸を持つヒロインの『25時のシンデレラ』(川原由美子) *2とは一時間違いの本作。自分に自信が持てなくて一歩を踏み出せないでいる女の子を、外の世界から王子様が迎えにきてくれる、というモチーフは共通しています。最大の違いは、主人公を男子にしたか女子にしたか。
頼り甲斐のある年上の男を王子にして、女の子視点で描かれる『25時〜』に対して、本作では、頼りない同級生を王子に男視点で描いています。本作の主人公の《僕》には、男の根底に流れる汚ないドロドロした《性》が感じられなくて、女の子の太ももが気にかかる姿も妙に爽やか。少しエッチな方が親しみやすいということなのか、こんなところまで妙に少女漫画チック。
ヒロイン初を束縛する意地悪な姉の立ち位置にいるのが美少女 八反丸さんなんですが、彼女が初を縛る理由が実は意地悪じゃなくて……なところも、ちょっと今風。
四半世紀前のセンシティブな少女漫画を現代に読み替えたら、草食系男子の一念発起モノになった、ということに、妙に納得させられた一冊でした。

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