そして花嫁は恋を知る 大河は愛をつなぐ

ナイル川の灌漑は塩害を招いた
著:小田菜摘 画:椎名咲月 集英社コバルト文庫*1

プラーナ帝国の支配がなければ発展が望めないネプティス王国で近衛兵を勤めるナルメルは、帝国から総督府長官として派遣された皇子アリアスの態度に反感を覚えつつも、彼の護衛を任されることになるが――女戦士と王子様、二人の心の行先はストーリー。
嫁恋シリーズの典型的な展開は、政略結婚から始まる恋もある、人間万事塞翁が馬なんですが、本作は身分の差を超えた職場恋愛。本社から整理真近の支社に左遷された元エリートが現地の経理と恋に落ちる、みたいな構図。
現地から疎まれるのは、既刊は姫の方ですが、本作では男。本作を読んで既刊のヒロインの、宗主国から属国に嫁がされる姫君という立場の危うさをより一層認識する結果に。
このシリーズで、一方が他方を助けるだけの展開にならないのは、常にこういう、ちょっと嫌な関係があるからかも。お薦め。

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