忠臣蔵秘伝 とがなくて死す

太閤遺金、徳川埋蔵金M資金

浅野内匠頭切腹させられたのは、神君 家康から浅野長思が受けた命のせいだった。仇討ちの裏で内蔵助がお上に挑む闘いとは――関ヶ原に始まる徳川家と浅野家の百年の因縁。
家康の影武者と将軍秀忠との暗闘を描く『影武者徳川家康』(隆慶一郎) *2 *3 *4では、愚行に走る秀忠と柳生宗矩の後処理をどうするか、が見処ですが、本作で愚行に走るのは綱吉と柳沢吉保で、大石内蔵助がこの二人のフォローに回る形式。綱吉と吉保の読みに内蔵助がまったく乗っていかないところが痛快。
史実の通りの結末に至るだけに、浅野家の密命にどう有名人がかかわったか、その裏側を「読む」のも楽しい。綱吉時代の閉塞感を知るためにも、『忠臣蔵とは何か』(丸谷才一) *5と一緒にどうぞ。

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