深淵のガランス

yomimaru2006-04-28

bk1
著:北森鴻 画:中山尚子 文藝春秋*1

裏稼業の今度の依頼は、大正末期の傑作洋画の修復。美意識に合った仕事だけ請ける佐月恭壱は、下にある別の姿に――美術サスペンス。
ギャラリーフェイク(細野不二彦) *2とも共通する絵画修復の技の描写が緻密で圧倒されます。もっとも、フジタは金目当てを装う偽悪者ですが、佐月は金というよりも自分の好みが優先するええ格好しいなだけに、より一層我が儘度アップで、始末に負えない感じがいいですね。
本作では、絵画修復がメインで花師としての仕事は、佐月の《美》に対する姿勢を極立てる名脇役になっていますが、もしシリーズになるなら、花師メインの話も読んでみたい。
歌麿殺贋事件(高橋克彦) *3のような美術界の裏側テーストが好きな方にお勧め。

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