北森

螢坂

著:北森鴻 画:金田実生 講談社文庫*1ビアバー香菜里屋の今日の一品目は、湯通しした実山椒を細かく刻んですり生姜と微塵切りの分葱とめんつゆ、ごま油を一、二滴のソースで、賽の目切りトマトと素揚げした海老、烏賊を和えたもの――料理も謎解きも気になる短…

メビウス・レター

著:北森鴻 画:小泉孝司 講談社文庫*1男子高校生の焼身自殺事件の真相を追求する不審な手紙が人妻ストーカー妙子に悩む作家 阿坂の元に届く。阿坂は秘書 芳江にも担当編集 野島にもそのことを隠すが――驚愕の結末、奇想のミステリー。 初期の島田荘司作品が理…

桜宵

著:北森鴻 講談社文庫*1ビアバー《香菜里屋》の工藤が、正体を明かさずにするお勧めは、何も言わずに受け入れよ。さすれば至高の口福が――マスターの異常な推察。花の下にて春死なむ*2に続く短編集。 店の名前のつけ方は珍走団風なのに、出てくる料理の手の込…

メイン・ディッシュ

著:北森鴻 デ:藤井康生 集英社文庫*1小劇団女優ねこの恋人ミケさんは、座付作家 小杉の心の奥底からまだ出てこない作品内事件の真相を読み解く名探偵にして料理の達人。そんな彼の心の底にも――ちょっとビターで美味しいミステリ連作集。 冒頭でバリンジャー…

深淵のガランス

著:北森鴻 画:中山尚子 文藝春秋*1裏稼業の今度の依頼は、大正末期の傑作洋画の修復。美意識に合った仕事だけ請ける佐月恭壱は、下にある別の姿に――美術サスペンス。 ギャラリーフェイク(細野不二彦) *2とも共通する絵画修復の技の描写が緻密で圧倒されます…