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yomimaru2006-05-25

bk1
著:北森鴻 デ:藤井康生 集英社文庫*1

小劇団女優ねこの恋人ミケさんは、座付作家 小杉の心の奥底からまだ出てこない作品内事件の真相を読み解く名探偵にして料理の達人。そんな彼の心の底にも――ちょっとビターで美味しいミステリ連作集。
冒頭でバリンジャーの歯と爪*2や消された時間*3など、叙述トリックに言及しているぐらいなので、当然そのつもりで読み進めるわけですが、自分が囚われている《常識》をひしひしと感じさせられる展開。
でも本作で心に残るのは、やはりミケさんの料理。自分でも作れるんじゃないかな、と思わせる凝り過ぎでないメニューの数々が、唾液腺を激しく刺激。
卵で米の一粒一粒がくるまれたチャーハンの作り方、うちでは、温かいご飯をボールにいれ、生卵をしっかり混ぜちゃってから炒める、という荒技をかますことがあるんですが、ミケさんの作り方は、少しだけ卵に火を通してからボールで混ぜるというやり方。確かにそっちの方がいいかもしれない。
お勧めです。

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