“文学少女”と繋がれた愚者

yomimaru2006-12-28

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図書館の本の見処ページを狙って切り取る犯人を探す先輩 遠子に、いつものように無理矢理付き合わされた心葉は、なぜか級友芥川と演劇をやることになり――縛られた過去を解き放つ憑き物落としストーリー。
前巻までと同様に、ゴシックで掲載された犯人らしき人物の書簡と、小説 友情・愛と死(武者小路実篤) *2をベースにはしているんですが、今巻では、この古典を劇中劇としてさらに取り込んでいて、ミルフィーユのような、甘くて切ない多層構造が見事。
文学に対する遠子先輩の偏愛ぶりも好調。現実にこういう語りの人がいたら……と考えたときのある種の《鬱陶しさ》は、形容詞過多な 赤毛のアン(モンゴメリー) *3の台詞に似てるんだな、と、今巻でやっと気付きました。
巻を追うごとに心葉の過去が明らかになっていく展開ですが、今巻の最後の一文は鬼の引き。次巻が待ち遠しいお薦め。

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