君の望む死に方

妙齢探偵、老人正犯、青年従犯、皆中二病
著:石持浅海 画:河合寛 祥伝社ノン・ノベル*1

余命6箇月と診断された社長 日向は、梶間が秘かに抱く望み「日向を殺す」をかなえさせるため、保養所でのお見合い研修に梶間ら若手社員を招集するが、ゲストの優佳の鋭さに――他人に自分を殺させるのは自殺か殺人かミステリ。
倒叙形式の『扉は閉ざされたまま』(石持浅海) *2でも活躍した優佳ですが、本作でも、細かい事象から大きな結論を導き出す大胆推理を見せています。一見太いように見えて、実は切れそうに細い綱渡り的な理詰めで語る彼女の姿には、『シャーロック・ホームズ』シリーズ(コナン・ドイル) *3っぽい大時代的なところがあります。
本作でも『扉は〜』でも殺人に至る動機にいい大人の考えることじゃない感があって、それが気持ち悪さを醸し出しています。中二病的なケッペキさを持つ大人の子供っぽさ、といった感じでしょうか。
優佳にも、目的のためには手段を選ばない、一切妥協しない頑なな姿勢が見られます。彼女が日向と梶間の二人に残した最後のプレゼントにも、子供っぽい暗号メッセージが。瑕のない《閉じられたセカイ》を感じる一冊でした。

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