小説新潮2005年10月号

小説新潮2005年10月号には、「若手作家座談会 “ラノベ”世界へようこそ!」〜桜坂洋×桜庭一樹×とみなが貴和×大森望(案内役)」も掲載されています。小説新潮の主要読者層の年代に相当する、作家本人の父母に自作を読んでもらったときの感想が面白いですね。
交錯する4つの人生の物語「フィッシュストーリー」(伊坂幸太郎)は、やみなべの陰謀(田中哲弥)*1をもっと短く纏めたような印象で、時間の順序を入れ換えることで劇的に因果関係を明らかにする構成が安定しています。
厄年休暇があったり工事の安全を祈願する人柱職人がいたりの神秘の国ニッポンで留学生リリーが出会う奇妙な事件を綴った「厄年は怪我に注意」(石持浅海)は、人が死なない日常ミステリー。「日常に溢れる“本格”」ジャンルは、本格、社会派、新本格とは味付けが違うように感じます。このジャンルをうまく言い表す言葉はないものでしょうか。